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富山・石川で設計士と建てる新築・注文住宅  SHOEIの家 |理想の暮らしをデザインします 富山・石川で設計士と建てる新築・注文住宅  SHOEIの家 |理想の暮らしをデザインします

「SE構法による、大空間・大開口について」
設計士山木洋平ロングインタビュー【前半】(株式会社エヌ・シー・エヌ岡文昭)

重量木骨事業を手掛ける株式会社エヌ・シー・エヌより 構造一級建築士の岡文昭氏(右)を聞き手として迎え、(以下「岡」) GoodDesign賞など受賞歴のある 正栄産業株式会社一級建築士の山木洋平(左)との対談。(以下「山」) 自身の設計思想、仕事のあり方、 そしてこれからの住まいについて語る。

■設計士「山木洋平」とは

:最近、大空間・大開口の需要が増える中、正栄産業さんがSE構法でどのように応えるのかをお聞きしたいと思います。 まずは、山木さんが意匠設計者を目指した理由についてお聞かせ頂けますか?

:子供の時から空間を作る事が好きでした。 例えばLEGOで家やビルみたいなのを作ってみたり、 家電の大きなダンボール箱で自分の部屋みたいのを作ったり。 本当にそういうのが好きな子供でした。 それが長じて、建築とか空間作りに興味を持つようになりました。

仕事として始めてからは、自分の引いた線や、書いたものが、 色んな人の協力を得て形になり、それが長い間形として残る。

それが多くの人に影響を与えていると感じています。 人生を変えると言ってしまうと大袈裟なんですが、 その人の暮らしを作る事ができるという部分が 住宅や建物を設計する事が魅力だと思っています。

:壮大なきっかけですね。

:美術品のように自分で好きに作って、買ってもらうわけではなく、 人に求められて、その人の資金で作らせてもらうので、責任は大きいですね。

:幼少期のLEGOから始まり、ダンボールハウスに至り、 今ではお客様の要望を聞き入れて形にする、 そしてそれが長い間形として残るというところに魅力を感じているというわけですね。

山木さんは実際にどんなスタイルの建築が好きなんですか?

:普遍性が大事だなと思っています。 具体的に言うと、「変わらず良いもの」がわかりやすいかと思います。

昔から、皆んなが綺麗だと感じるとか、心地よく感じるような意匠的な見え方や、 空間的には万人がなるべくいいなって感じる物を考えていく。 そういう普遍的な部分が好きです。

:流行り廃りがなく、誰が見てもかっこいいとか、心地いいというのを目指しているという事ですか?

:そうですね。

■デザイン力の磨き方

:これまでの意匠設計の実績は具体的に何棟くらいあるんでしょうか?

:ちゃんと数えた事はないんですが、かれこれもう20年近くになるので、大体200棟は超えていると思います。

:年間平均10棟は設計しているという事ですね。 また、聞くところによると受賞暦もあるとか。

:LIXILさん主催のビルダーズコンテンストです。年度毎に頂いたりもしていますが最近だとの地域(北陸)の最優秀賞をいただきました。

:そんな受賞された作品も含め、山木さんは洗練されたデザイン能力があると思うのですが、そのデザイン力はどのように磨かれているんですか?

:一番大事なのはとにかく色んなものを見てインプットします。 もちろん見るより体験だと思ってはいますが、いいなと思うもの全部が全部行けるわけではないので、とにかく色んな物を見る事にしています。

:体験とはどういう事ですか?

:その場に行く事、体感するのがインプットとしては大事ですね。 写真でも見られますが、自分が実際どう感じるのか、理解するのかは、 実際にその場に行ってみるのが一番ですね。

:百聞は一見にしかずですね。確かにスケール感を感じるのは重要ですね。

:その場所でいいなって思ったら何故いいのか、何故自分が心地よく感じるのか。 それを考えて、自分なりの答えを出してみるのが、加えて大事だと思います。

そしてその解釈を取り入れ、実際の仕事の中でアウトプットします。 そうする事で、インプットした物が自分の物として生きてくると思ってます。

:全くその通りだと思います。そういうベースがあるとお客様に対しても説得力が増していきますね。

お客様と商談される時もインプットしたものをアウトプットされていると思うのですが、 それ以外に何か意識している事、これだけは気を付けている事があれば教えて頂けますか?

:大前提として、家は日々暮らす器なわけなので、暮らしやすい事、過ごしやすい事、使いやすい事の他、 光・風といった環境的な部分は当然気を付ける部分です。 それ以外にという事であれば、なるべく「その方らしさ」を設計の中に取り入れるように考えていきたいと考えています。

:色んな方がいらっしゃる中で、「住まう方のらしさ」を一概に堀下げるのは難しいと思うですが、 お客様から、この人らしさはこれだ!みたいなものを感じ、その人らしさを出せる住宅を作るという事ですか?

:もちろん、人によってポイントは違います。 お話をしている中で、この人の暮らしの中心にあるものはこれじゃないか、という部分があったり、 この方が大事に捉えている部分はここだなと感じたり。

お話を重ねる中で、暮らしのポイントじゃないかなと思える部分がだんだんと感じる事ができます。 そういうのを中心にして膨らましていく。

膨らましていくと結果的に、その方らしい住まいになっていると思っています。 住まい手の方にとっても、より愛着のある住まいになるきっかけになると思いながら考えてやっています。

:じっくりとお客様の意見に耳を傾けないと、その辺の情報が当然引き出せないと思うので、 しっかりとヒアリングを行った上で、まず山木さんがその人らしさを感じ取り、ご提案する。 そういう設計を常に心がけているというイメージですかね。

:何か受け取ったものをそのまま形にして返すっていうのはただの御用聞きなので、 自分の役割として、何かしら足してお返しするというのが大事だと思います。 そこが設計者としての価値が問われるんじゃないかなと思っています。

:そこが設計者としての醍醐味でもありますね。 そこに共感してくれることで、こちらのモチベーションが上がり、 一味加えるところがポイントですよね。

■山木スタイルについて聞く

:そうすると、 お客様らしさを山木さんのスタイルでアレンジして提案すると思うんですけど、 山木スタイルってありますか?

:良いか悪いわからないんですけど、派手さはないと思うんです。 でも、後でこう、じわっといいなと。

:いいじゃないですか笑。

:打ち合わせで「こうした方がいいですよ」と提案して、 よく分かんないけど「分かりましたって」言ってたお客様が、 住まわれてから話を聞くと、あの時言ってた事が住んでみて分かりますって おっしゃって頂く事がたまにあります。

:こういう事だったんですねみたいな。

:そうです。噛めば噛むほどじゃないですけど。

:お施主様はプロではないので、プロ側の視点でのご提案が、 最初は理解されないけれども、住んでから良さを感じてもらうというのが、山木さんの隠し味なんでしょうね。

そういう隠し味をしてあげることで、建築の旨味というものが引き出されて、 5年後、10年後に、ああ、こういうことだったんだというのが、 最初におっしゃっていた普遍的なものにも繋がるのかもしれないですね。

:あんまり言わずにやってる事もあります。笑

:勝手に仕込んでおいて、お施主さんが気づいて心地よさを感じてくれたり、 これ私が望んでたものだというものに繋がっているんでしょうね。

そういうところから山木さんをご指名して正栄産業さんへ来ていただく方もいらっしゃっるという事ですよね。

:そうですよね。最近ではホームページの事例を見た方から、 お願いしたいって言っていただける事もあります。

■SE構法による大空間・大開口について

:SE構法という強みを使ってご提案をする場合、SE構法ならではの空間というものが出来ると思います。

SE構法だからこういう提案をするというイメージはありますか?

参考:SE構法-重量木骨の家  

:先程のらしさの話ともつながってくるんですけど、 より強くコンセプトを出していくっていうことは、 より強い空間を作るっていう事に繋がってくるのかなと思ってます。

中と外をしっかり繋げたいと考えた時に、フレームだけで大きく外に繋げられる方が空間は強く出てくる。

これは吹き抜けなど、ダイナミックな空間構成が作りやすいというところは、SE構法の魅力だと思います。

:耐力壁で内と外を区切らなくても同等の性能があり、 フレームで目障りな壁を無くして内と外をつなげることが実現可能ですから、そういう提案ができますね。

:あと意識してる中でいうと、冒頭の責任ある仕事という話にも通ずるんですけど、 使われる方の時間とか命とか、そこにも良い方向に繋がってきます。 それが全て正解かはわかりませんが、その時々で最良の選択ができるようにしたいですし、 そのために自分のアップデートを心がけています。

これは仕事だけでなく、普段の生活でも意識しています。

:自分をアップデートされるわけですね。

:全部繋がってくるんですね。どういう風にセンスを磨くとか。全部繋がっていくなって。

:良いものをインプットして引き出しを増やし、 お客様に合った引き出しを開けてあげて、ご提案していく。 そういう考え方で、常に引き出しを増やしていく。 そういう心構えで設計や生活を送られているんですね。

:そうです。センスって天才的ということではなく、磨いていける、 後天的に作っていけるものだと思うので、いかにいいものをたくさん見て、自分の引き出しを増やして、 それを上手く使っていくっていうところだと思います。 それが出来るようになるための日々かなと思いながらやってます。

■当たり前の耐震、省エネ。そしてパッシブへ・・・

:最後に、これからの住宅建築にはどんな要素が必要だとお考えですか。

:そうですね。意匠設計を目指した理由のところで、建物というのが長く残る物、 長く使われていくっていうお話をしたと思うんですが、 その中であったように、長く使い続けることができるような建物というのがこれから求められていくのかなと思います。

それは中身は、暮らしに合わせてとか、 用途に合わせて変えていけるっていうところがもちろん大事だと思います。

長く使えるっていう面で言うと、耐震だったり、 あるいは省エネ性能とかは、今より求められていくと思いながらやってます。

:従来であれば20年経ったら壊して建て替えるというのが 一般的だったと思います。これからは良いものを長く使ってもらうために、 耐震性にも長けてないといけないのでそれなりの構造体が必要になってきますね。

今後は100年建ち続ける住宅を目指すとなると、耐震が一つキーワードになってくるし、 環境性能となると省エネ設備であったり、断熱性が高いというところもキーワードですかね。

:あと省エネ設備とか断熱の性能以外に建物での設計で掲げられるところは、 よくパッシブって言われますけど、そういう部分の設計の技術を取り入れて考えていくっていうところも同様に大事になってくるんじゃないかなと思います。

:そうですね。

:僕の知っている方のお言葉を借りると、パッシブって 開いても気持ちいいし、閉じていても心地いい、そういう空気環境のいい家にしていきたいと言われています。

後半は今回の設計思想に基づいた具体的な設計事例を見ながら SE構法の話にせまる。

Profile

岡文昭
株式会社エヌ・シー・エヌ所属
耐震構法・SE構法を手掛ける同社重量木骨事業を手がける。構造設計一級建築士として重量木骨プレミアパートナーの発掘や施工のサポートを行う。
株式会社エヌ・シー・エヌ  
重量木骨の家  
山木洋平
正栄産業株式会社所属・一級建築士
2002年より住宅設計の業界にて実務を行う。2008年より正栄産業の専属設計士として2023年までに200棟以上を手掛ける。
2012年 LIXILメンバーズコンテスト地域優秀賞
2015年 伊礼智住宅デザイン学校 設計競技 最優秀賞
2018年 愛宕の家(協働設計)にてGOOD DESIGN賞