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地震に強い家の特徴とは?耐震・制震・免震構造の違いを解説
日本は地震大国。近い将来、南海トラフ地震などの巨大地震が発生すると予想されています。いざ地震が起こった際、家族の命を守るには、地震に強い家を建てる必要があります。
しかし、具体的にどのような家が地震に強いのでしょうか?地震に強い家づくりをするには、どのようなポイントを押さえればよいのでしょうか。そして、最近よく耳にする「耐震」「制震」「免震」という言葉。これらは一体何が違うのでしょうか?
この記事では、地震に強い家の特徴と、知っておきたい耐震性を高める家づくりの工夫について分かりやすく解説します。
地震に強い家の特徴
「地震に強い家」とは、具体的にどのような特徴を備えているのでしょうか。
1.間取りと形がシンプル
シンプルな形状の家は、地震の力を建物全体に分散させ、特定の箇所への負荷集中を防ぎます。特に、正方形や長方形は、建物の重さの中心である重心と、建物の強さの中心である剛心のバランスが良く、地震の揺れに対して強い安定性を発揮します。剛心が重心に近いほど、地震時のねじれが少なくなり、建物へのダメージを軽減できます。
また、シンプルな間取りは、地震の力に抵抗する耐力壁を建物全体に均等に配置しやすく、建物の強度を高めることにつながります。さらに、1階と2階の間取りが類似していれば、壁の位置が上下階で揃うため、地震の揺れを建物全体に均等に伝え、建物の強度を向上させられます。
2.地盤が強い
地震の揺れは、地盤の強さに大きく左右されます。強固な地盤は、地震の衝撃を効果的に吸収し、建物への影響を最小限に抑えます。一方、軟弱な地盤では、地震の揺れが増幅されやすく、建物への負荷が大きくなります。特に液状化現象のリスクが高い地盤では、地震時に地盤が液状化し、家が傾いたり沈んだりする危険性があります。建物の耐震性をどんなに高めても、地盤が脆弱では地震による大きな被害を免れることはできません。
また、地盤が弱いと建物の重量を均等に支えられず、不同沈下(建物の一部が沈む現象)を引き起こす可能性があります。不同沈下は、建物の傾きやひび割れを招き、建物の寿命を縮めるとともに、居住者の安全も脅かします。
そのため、ハザードマップの確認や地盤調査を通じて、地盤の強い土地を選ぶことが重要です。万が一、軟弱な地盤の土地を選ぶ場合は、地盤改良工事を実施し、十分な強度を確保する必要があります。
3.平屋
平屋は、地震の揺れに強いという構造上の利点があります。建物全体の重量が地面に近いため、地震時の安定性が高まります。また、上階がないため、建物自体の重量が軽く、地震のエネルギーを受けにくいという特徴もあります。構造や間取りも比較的シンプルに設計できるため、耐震性を高めやすいといえるでしょう。
4.屋根材が軽量
屋根材の軽量化は、耐震性を高める上で有効な手段の一つです。金属屋根やスレート屋根などの軽量な屋根材は、瓦屋根と比べて建物の重心を下げ、地震時の揺れを抑制する効果があります。
また、地震時には建物の重量に比例して慣性力(動き続けようとする力)が働きますが、軽量な屋根材を使用することで、建物全体の重量を減らし、慣性力を抑えることができます。これにより、建物への負担が軽減され、倒壊のリスクも低減されます。
5.ベタ基礎
地震に強い家は、基礎にも工夫が凝らされています。ベタ基礎は、建物の底面全体を鉄筋コンクリートで覆う基礎であり、地震の揺れを面全体で受け止めるため、力を分散させやすいという特徴があります。また、広い面積で地盤に接するため、建物の重さを均等に分散させ、不同沈下(建物の一部が沈む現象)を防ぐ効果も期待できます。
6.壁の配置バランスが適切
壁の配置バランスも、地震に対する強さを左右する重要な要素です。耐力壁(地震の力に抵抗する壁)を建物全体に均等に配置することで、地震の力を分散し、特定箇所への負荷集中を防ぎます。
ただし、吹き抜けやビルトインガレージなどの大開口は、壁の量を減らし、建物強度を低下させる要因となります。このような場合は、構造や設計を工夫することで、耐震性を確保することが可能です。
7.窓の大きさや数が適切
窓の大きさや数も、耐震性と密接に関連しています。窓は壁の一部を切り取るため、窓の面積が大きくなったり、数が増えたりすると、耐力壁の量が減少します。また、窓の周囲は、地震の際に力が集中しやすい部分です。
窓が特定の場所に集中している部分は強度が弱くなり、建物全体の強度が不均一になります。窓をバランス良く配置することで、壁全体の強度を均一に保ち、地震に強い構造を実現できます。
地震から家を守る!耐震・制震・免震、3つの構造を徹底比較
地震に強い家づくりには、建物の構造への工夫が欠かせません。住宅の耐震性を高める構造には、「耐震」「制震」「免震」の3種類があり、それぞれ役割が大きく異なります。
住宅会社によって採用している構造が異なるため、それぞれの違いを理解しておくことは、家づくりにおいて非常に重要です。違いを知ることで、ご自身の希望や予算に合った構造を、より的確に選択できるようになるでしょう。
耐震構造
耐震構造は、建物自体の強度を高めることで、地震の揺れに耐える技術です。耐力壁や筋交いの設置、耐震金物による柱や梁の強化など、建物全体の剛性を高めることで、地震の力を受け止めます。建築基準法で定められた耐震基準を満たすために、すべての建物に採用される構造形式です。つまり、耐震構造は「最低限クリアすべき基準」といえます。
メリット
耐震構造の魅力は、導入コストの低さにあります。建築基準法で義務付けられているため、耐震構造にするための追加費用はかかりません。また、多くの住宅で採用され、技術も確立されているため、工期も短縮可能です。さらに、特別な技術を要さないため、間取りの制約が少なく、理想の住まいを実現しやすいでしょう。
デメリット
耐震構造の弱点は、揺れを直接受けるため、建物が揺れやすいことです。特に3階建てなど縦に長い住宅では、顕著に揺れを感じるでしょう。また、揺れに伴い家具の転倒リスクも高まるため、怪我を避けるためにも家具や家電の固定が必須です。
さらに、耐震構造は地震に「耐える」設計のため、繰り返しの地震で建物にダメージが蓄積する可能性があります。一度の地震には耐えられても、度重なる揺れで柱、梁などの構造部材に損傷が蓄積し、最悪の場合、倒壊につながることも。そのため、地震後は専門家による点検が欠かせません。
制震構造
制震構造は、地震の揺れを効果的に吸収し、建物へのダメージを軽減する技術です。ダンパーなどの制震装置を建物に組み込むことで、地震のエネルギーを熱などに変換し、建物の揺れを抑制します。住宅に用いられるダンパーは、主にオイル(油圧式)、ゴム、鋼材の3種類があります。
耐震構造に制震構造を組み合わせると、揺れに耐える強さに揺れを吸収する効果が加わり、より地震に強い家づくりができるでしょう。
メリット
制震構造の利点は、揺れを抑え、室内での家具転倒リスクを減らせることです。揺れ幅が大きくなる2階建て以上の高さがある建物において効果を発揮します。また、繰り返しの地震に強いのも特徴。制震装置は、地震の力を分散させる効果もあり、建物の一部分に負荷が集中するのを防ぎます。
これにより建物の変形を抑制し、構造部分へのダメージを軽減する効果も期待できるのです。さらに、免震構造よりも安価に導入できるケースが多く、経済的に建物の安全性を高められます。
デメリット
制震構造の課題は、装置の配置や数が効果を左右することです。専門知識がないと適切な設計は難しく、また軟弱地盤では効果が十分に発揮されない場合があります。地盤が弱いと揺れが増幅し、装置の吸収能力を超えることがあるためです。さらに、不同沈下が発生すると、装置が設計通りに機能せず、性能が低下する恐れがあります。
免震構造
免震構造は、地震の揺れを建物に直接伝えにくくするために、建物と地盤を分離させる技術です。建物が宙に浮いているわけではありませんが、基礎と建物の間に特殊な免震装置を設置することで、水平方向の地震の力を吸収し、建物への揺れを最大1/3~1/5程度に軽減します。
つまり、建物自体がほとんど揺れないため、建物内部の家具・家電の転倒リスクを大幅に低減できます。免震装置はマンションや大規模施設などに用いられることが多かったのですが、戸建て住宅でも用いられるようになっています。
メリット
免震装置の最大の強みは、3つの構造の中で最も揺れを小さくできるところです。建物が直接地盤に接していないことで大地震でも揺れ幅を抑えられ、建物内部での家具転倒やガラス破損などのリスクを軽減します。
また、免震装置が地震エネルギーを吸収するため、建物へのダメージも最小限に抑え、繰り返しの地震にも強いのが特徴です。熊本地震のような連発する大地震にも対応できる点は、大きな安心材料となるでしょう。
デメリット
免震構造は、最高の耐震性を誇りますが、コストが最も高額です。免震装置の設置には、300~500万円程度の追加費用が見込まれます。安全性というメリットは十分に理解できても、予算と折り合いがつかず、導入を見送るケースも少なくありません。
また、免震装置の設置には、一定の敷地面積が必要です。免震装置は地震の揺れを連続的に受け流すために、左右に大きく動くことで地震の揺れを吸収するため、建物の周囲に十分な空間がないと、設置できない場合があります。
さらに、免震装置は重量があるため、軟弱地盤では不同沈下のリスクが高まります。不同沈下によって建物が傾くと、免震装置の可動域が制限され、免震性能を低下させる原因となります。また、水平方向の揺れには強いものの、縦揺れへの対応力は限定的です。
「耐震構造」「制震構造」「免震構造」のメリット・デメリットをまとめると、以下のようになります。
耐震構造 |
メリット |
・他の2つよりコストが安価 ・工期が短い ・設計の自由度が高い |
デメリット |
・建物が揺れやすい ・家具の転倒リスクが高い ・建物自体へのダメージが蓄積される |
|
制震構造 |
メリット |
・建物内部の安全性を向上 ・繰り返しの地震にも強い ・免震構造より導入コストが安価 |
デメリット |
・装置の設置場所や数を考慮する必要がある ・軟弱地盤では十分に効果が発揮できないこともある |
|
免震構造 |
メリット |
・3つの中で最も安全性が高い ・建物内部の損傷を軽減 ・繰り返しの地震に強い |
デメリット |
・コストが高い ・設置場所が限られる ・縦揺れには弱い |
これらの情報を参考に、ご自身の希望や予算、建てる土地の条件などを考慮して、最適な構造を選びましょう。
地震に強い家づくり、よくある疑問をQ&Aで解説
地震に強い家づくりは、専門的な知識が必要なため、分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。ここでは、家づくりでよくある質問をQ&A形式でまとめました。
Q.耐震等級とは何ですか?
耐震等級とは、建物が地震の力に対してどれだけ耐えられるかを示す3段階の指標です。「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいています。
耐震基準と耐震等級はよく似た言葉ですが、意味合いは異なります。
項目 |
耐震基準 |
耐震等級 |
目的 |
人命を守る |
人命を守る+建物を守る |
基準 |
建築基準法 |
品確法 |
段階 |
一つのみ |
1~3級 |
義務 |
義務化 |
任意 |
耐震基準は、建築基準法で定められた「最低限の安全基準」です。建物の倒壊による人命損失を防ぐことを目的としており、2025年現在、耐震基準1を満たさない住宅は新築できません。
一方、耐震等級は建物の地震への強さを示す「性能表示」のようなものです。耐震基準を満たした上で、さらにどれだけ地震に強い性能を持つかを表します。耐震基準の目的が「人命を守る」ことを目的としているのに対し、耐震等級は「人命の安全確保」と「建物の損傷防止」を目的としています。
つまり、地震に強い家を建てるには、耐震等級を高める必要があるのです。等級が高いほど、地震に強い家ということになります。
▶関連記事 『【家づくりのプロが解説】注文住宅の耐震等級は意味ないって本当?住宅に必要な耐震性能と等級とは』はこちら |
Q.地震に強い家を建てる住宅会社をどう選ぶ?
地震に強い家づくり託せる住宅会社を見極めるには、いくつかの重要なポイントがあります。
1.技術力が信頼できるか
住宅会社を選ぶ際、耐震性能に関する情報を徹底的に確認しましょう。耐震構造はもちろん、制震・免震技術への対応力、使用する建材の種類によって、住宅の強度は大きく左右されます。安全性を確認するため、構造や建材の選択理由となるデータを示してもらい、納得いくまで説明を受けることが大切です。
2.耐震等級の取得を積極的に勧めているか
耐震等級は任意取得のため、住宅会社によって推奨度は異なります。等級1は建築基準法を満たしていればよいため、認定を受ける必要はありませんが、等級2以上を取得するには、「住宅性能評価書」の取得が必要です。
評価書の発行には、建築基準法の「仕様規定」をクリアしていることが前提であり、さらに「性能表示計算」または「許容応力度計算(構造計算)」のいずれかを行う必要があります。同じ等級でも、より詳細で複雑な検証を行う「許容応力度計算」を採用している住宅会社は、耐震性能の高い家づくりに自信があるといえるでしょう。
3.丁寧な説明と充実したアフターサービスがあるか
専門知識を持たない人にも、理解できるまで丁寧に説明してくれる住宅会社を選びましょう。高額な耐震工事を、「プロが言うから」と安易に決めてしまうと、後悔につながる可能性があります。費用と効果を十分に理解することが重要です。
また、地震後の点検・補修などのアフターケアサービスも重要な判断基準です。災害発生時は、自分で業者を探す余裕がない場合も考えられるため、事前に信頼できるサポート体制が整っているか確認しておきましょう。
▶関連記事 『【家づくりのプロが解説】注文住宅の耐震等級は意味ないって本当?住宅に必要な耐震性能と等級とは』はこちら |
Q.耐震性を高めると家づくりの費用はどれくらい上がる?
一般的に、耐震等級1を等級3に上げるには、約150万円費用が増加します。(延床面積30坪程度の木造住宅の場合)。ただし、耐震・制震・免震構造のいずれを採用するかによって費用は異なり、使用する材料や施工会社によっても変動します。
高額な費用を見ると、最低限の耐震性能で十分と考える方もいるかもしれません。しかし、住む人の安全や、災害後の生活を守ることを考えれば、これは価値ある投資といえるのではないでしょうか。
▶耐震等級と予算の関係はYouTube動画をチェック! 『【注文住宅】家の耐震等級、どこまで予算をかける? 家族を守る地震対策!』はこちら |
Q.耐震性の高い家はデザインが制限される?
耐震性の高めた家づくりは、デザインに制限が出ると思われがちです。確かに、シンプルなデザインの住宅の方が耐震性を高めやすいのは事実です。しかし、近年では建築技術の進歩により、耐震性とデザイン性を両立した家づくりが可能になっています。
「地震に弱い」と思われがちな、吹き抜け、スキップフロア、ビルトインガレージ。これらを積極的に提案する会社は、設計力に自信がある証拠といえるでしょう。特に、全棟を設計士が担当する会社であれば、高度な技術でデザインと耐震性を両立できます。難易度の高い設計だからこそ、会社の技術力が際立つといえます。
SHOEIの家は耐震+制震構造で地震に強い家づくりが可能
日本に住む以上、いつ大地震に見舞われるか分かりません。これまで地震が少ないといわれていた地域でも、能登半島地震のように、想定外の大地震が発生する可能性があります。家族の安全と、地震後の生活を守るためにも、地震に強い家づくりをしましょう。
SHOEIの家は、耐震と制震のW構造で、地震に強い家づくりを行っています。さらに、全棟許容応力度計算による耐震等級3の取得が可能です。設計士による確かな設計技術で、デザインにも妥協しません。住まいの安全性とデザイン性を両立させたいなら、ぜひSHOEIの家へご相談ください。
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